恩師の話(社会人編)
社会人になって就職先は岡山に配属になりました。
社長から「お前もいずれ家業を継ぐなら、あいつの下で学んでこい」と通達があり、501のジーンズとアディダスのカントリーを履く店長に出会います。
その方は、当時バリバリのトップセールスマンでして、僕が就職した頃に店長として統括されていました。
多くを話すお客さんは、例えて言うと、いろんな部屋の扉を開けながらさまよっている。1つ1つ扉を閉めて、最後の部屋に連れて行ってあげなさい。
お客さんとセールスマンのテンションにはタイムラグがある。セールスマンが1番テンションが上がるのは成約時だけど、お客さんは納車の時だ。
話し方にも手段がある。1から10まで求めない人には大事なところを印象付けてゆっくりと。
クロージングの必要性、人間心理、教えてもらったことは全て理に適っていて、時代が変わっても色褪せないものばかりです。
昼ごはんに塩鯖弁当を2日連チャンで買って来て、「お前ワシの事ナメとんか」と恐ろしいほど叱られたし、台風でシャッターが吹っ飛ばされないように二人で必死に店を守った日もありました。超怖くて当時は大変だったけど、喉元過ぎれば、ってヤツでしょうか。
今となっては。
時折、触っていないと、その店長のノートパソコンのスクリーンセイバーが発動します。
遠くからでは良く見えません。
こっそり覗くと
ー人間には2種類ある。バイクに乗るヤツと乗らないヤツだー
こう記された小さな文字が左から右へ流れています。
そうだよな。
乗るヤツでいないとな。
バイクが好きでも生業になってしまうと、ちょっと距離を置きたくなる時もあります。
ツーリングに一緒に行った時に、前を走っている店長が、沿道に生えている枝葉を引っこ抜いて、左コーナーでこっちに投げて来ました。
避けるのに必死でしたが、なぜか分からないけど、この時すごく楽しくて、この人は本当にバイクが好きな人だと感じました。
1つの事に貫けた、カッコいい商売をして行きたいです。